朝夕日記

現在スイスジュネーブ在住。ものすごくどうでもいい身辺雑記です。

トリポリ。

asa_yu2006-03-31

朝、7時15分集合のため、6時半に起床。
でも夜の間に1時間戻ったせいでちょっと楽。今日はいよいよリビア。リーダー夫妻と3号くんのクルーズハイライトが日食なら、私にとってのハイライトは実はこれ。リビアには有名なローマ遺跡があり、どうしてもそれが見たくて参加したのでした。だって現状では中々個人でこれないものね。今回もアメリカ人およびパスポートにイスラエルのスタンプが押してある人は一切入国拒否とのことでした。
おかげで英語のオプショナルツアーは人が少なくて良かったです。実はツアーは2種類あってLeptis Magnaへ行くものとSabrathaとTripoliへ行くもの。「アフリカの真珠」と歌われたレプティス・マグナへもものすご〜く行きたかったのですが、初リビアなのでトリポリもちょっと見たかったし、サブラサはめずらしい(ほとんどローマがぶっ壊したので)カルタゴ時代の遺跡と何よりもほぼ完全な形で舞台が残っている古代ローマの劇場があるので、今回はこちらにしました。2日あったらよかったのになあ。
クルーズで入国すると手続きはいたって簡単。ビザも船内で調達するので取ってくる必要なし。あっさり上陸したら、街の中は予想どうりカダフィ大佐の看板やら写真やらがそこら中に飾ってあります。微笑むカダフィ、真面目な顔したカダフィ、サングラスをかけたカダフィなどなど。これを見てリビアに来たなあと実感できました。そしてアメリカ嫌いのはずなのになぜか我々のガイドのおっちゃんはニューヨーク・ヤンキースの帽子をかぶっている。野球ならいいのか?謎だ。リビアは最近ようやくまた観光客が来るようになったばかりなので設備は…ですが、はっきりいって思っていたより全然マシでした。でも遺跡での写真撮影はお金を払った人のみ、それもお一人様16ユーロとはっきり言ってぼったくり。しょうがないので代表でリーダーと3号くんがお金を払ってくれました。が、遺跡の中に入ってしまえば誰もチェックしてないので、払ってなくても簡単に写真が取れる。セコイのにおおらかだ。
午前中はサブラサの遺跡へ。海辺にある遺跡はフェニキア人の時代から港として栄えただけあってすごいの一言。惜しむらくは革命後に発掘作業が止まってしまったことでしょうか。全体の25パーセントぐらいしか発掘されてないらしい。あと、古代都市の大部分が地震で海岸線がずれたために海の中だとか。それでも発掘された部分はカルタゴ時代のお墓といい素晴らしいの一言。所々モザイクが何と野ざらしで残っているし、柱も昔の大理石がそのまま残ったものが結構ある。すごいなあ。圧巻はローマ時代の劇場。ローマの劇場跡は多々あるのですが、ほとんどの場合舞台と客席は残っていても背景が残っていない。ローマ時代の演劇は劇場に作られた3階建ての背景とその前の部分で劇が進行し、どの劇も同じセットで演じられたのですが、この部分はまず残っていないので、実物が見れた私は一人ではしゃいでしまってました。ガイドのおっちゃんの酷い英語もなんのその。楽しいぞ。
この劇場跡で自由時間となったのですが、適当に見て回った私はこういった所で必ず行列になるトイレに早めに行くことに。あまり待たずに住んだのですが途上国の常で女子トイレのいくつかが水圧が弱くて水が流れないために使えなくなり、機能しているのは一つだけになっている。ダメかなあと思ってみているといきなりどこからか爺さんがやってきて「アクア?シー。」とイタリア語で言ってなにやら栓をひねって水を出し、棒で突付いて強引に流している。んでもって「チョコラ、チョコラ」と言っている。「チョコラってなんじゃ?」と思いながらもありがたく使わせてもらう私。その後ろで並んでいたマニラちゃんが、さすが途上国行きまくりの人、堂々と日本語で「おっさん、ここも治して。使えんで。ちょっとチョコラ、チョコラ〜」と叫んでいる。そうしたら爺さんはまた「チョコラ、チョコラ」と言いながら直してました。後にマニラちゃんとの会話でどうも爺さんはチョコラではなくチップを意味する「シュケルシュケル」と言っていたらしい。ようは直してやったからチップをよこせ、という意味だったそうな。「気が付かなかったから、チップを置かなかった。悪いことしたなあ」と私が言うと「いやあ、私もわかんなかったけど、小銭が置いてある皿を指差してチョコラって言ったから。でも後の人はどうもそう言うとオッサンが来てくれると誤解しちゃったみたいで全員おっさんをチョコラって呼んでたよ」と何だか気の毒な展開に。
サブラサの遺跡の後は昼食。海の見えるレストランでクスクスを食べる。はっきりってギリシャより良かった。さて午後からはトリポリの博物館に行くか街でショッピングするかの選択となりました。実はさるぼこちゃんの粉ミルクが危機的状況になっていて、しかも船の中に粉ミルクが売ってないことが判明したので、ここトリポリ粉ミルクを手に入れる使命を帯びていた我々のグループは2手に分かれることに。私は個人的趣味で申し訳ないけど博物館に行くことに。そしてリーダーと1号夫婦とロランスと4号くんは街へ。
3号くんとマニラちゃんと一緒にトリポリ博物館へ入っていくとカバンを入り口で預けるように言われる。しょうがないので財布とカメラだけ出してから中へ。なんとトリポリ博物館の中はレプティス・マグナから持ってきた貴重な彫刻とかモザイクで一杯。中々見れないものばかりなので私は嬉しくなってまた色々見ていたら、唐突に水色のフォルクスワーゲン、ビートルが展示してある。「きっとカダフィの何かだよ」と言って笑っていたらその直後にガイドのおじさんが真面目な顔で「これはカダフィ大佐が革命を始める時に乗っていた車です。見ての通りドイツ車です」と説明したのでおかしくてしょうがない。またガイドのおじさんはその後何事もなかったかのように「これはハドリアヌス皇帝像で〜」などとあっさり他の彫刻の説明を始めながらさっさと次の部屋にいってしまった。私が写真に欲しいものは3号くんが専属カメラマンになってみんな撮ってくれるというので、遠慮なく「あの像は撮って。んでもってこのモザイクも〜」とお願いしまくる。
最後に空いてるのでトイレに行ったら紙がない。こういった国ではよくあるのでその為にちゃんとティッシュを持ってきたのに、それは入り口で預けさせられたカバンの中に入っている。う〜ん、備えていたのに思わぬところでやられてしまった。色々楽しく遊んでトリポリツアーも無事終了。さすがのリーダーはちゃんと粉ミルクを入手していた。薬局はユーロもドルも取ってくれなかったのでガイドのおじさんがディナールを出して買い、おじさんにドルを上げてきたそうな。
夕方無事に帰船すると、Nちゃんがいない。ミルクを買った旨だけメモを書いて知らせておいて後はサウナに入ったりして夕食までノンビリ。夕食の時間になってもNちゃんとさるぼこちゃんがいないので心配になり、リーダーの部屋にいるかと思って電話をすると「う〜ん、港に母子が浮かんでたってのは聞いてないよね」と何だか不吉なことを言っている。(笑)後に出航するのを見物に行っただけと判明。今日のディナーはフェアウェルとかで豪華版。途中でウェイターがパフォーマンスをしたりと賑やかでした。その後皆でラウンジでカクテルを飲む。
本日のスペシャルドリンクはシンガポール・スリングだったのですが、1号夫婦が飲んでいた所に合流したマニラちゃんが同じ物を注文すると何とフィリピン人のウェイターが「カバヤン(タガログ語で出稼ぎ同胞の意味らしい)スペシャル」とか言ってアルコール濃度がはっきりって2倍はあるカクテルを持ってきたらしい。値段は同じなのに〜と1号くんが文句をいってました。恐るべし、同胞。この後他の皆も合流。ここからマニラちゃんとウェイターによるタガログ語の会話が炸裂し、この後、我々のドリンクはすべてカバヤンバージョンとなる。酔っ払った我々はフランス人も引きずりこんで「せんだみつお」ゲームをするわ、最下位2人に全員分のカクテルをおごらせるわ、何だか賑やかな一夜となりました。
いい気分になって就寝。明日は一日海の上。あさってはいよいよ下船だ。
今日の写真は3号くんが撮ってくれた古代ローマの劇場跡。すばらしかったなあ。