朝夕日記

現在スイスジュネーブ在住。ものすごくどうでもいい身辺雑記です。

豊かな感情表現って…。

asa_yu2006-11-06

頑張って起床。
朝が寒い。いきなり温度が落ちた所為か朝は眠い。でも出勤。今日も一日お仕事だ。
同僚のソマリア人にフランス語での電話をまたまた手伝ってもらう。彼女は最近まで病欠していたので、やたら疲れた顔をしてました。早く元気になってくれるといいのですが。
その彼女が先週参加した「ネゴーシエィション・テクニック」のコースにまつわる話がおかしい。そのコースで

  • 感情的になった人を相手にする時は「貴方が今怒っている、(もしくは動揺している)のは分かる」と言い、絶対「貴方の気持ちは分かる」と言わないようにしましょう。相手の感情に引きずられないように。
  • さらに「貴方はこの状態をどうやって改善したいのか?」などとたずね、本人に決断させましょう。けしてこちらからは意見を言ってはいけません。
  • 相手が行動を決意したら、その決意をサポートしましょう。こちらからの意見ではなく、「自分で決断した」、と思わせることが重要です。

などのテクニックを教わった彼女は、その晩電話をかけて来た知り合いに早速応用してみたそうな。その知り合いはゲイのおじさんで8ヶ月前にパートナーと死別。それから毎週、2、3回は彼女のところに電話をかけてきて、おのれの悲しみを延々と愚痴るそうなので、いい加減うんざりした彼女は「今こそネゴーシエィション・テクニック!」と使ってみた結果が、

  • 「あなたが悲しいのは分かるわ。」
  • 「そうなんだ!悲しくてしょうがないんだよ」
  • 「この状態から抜け出すために、あなたは何をすればいいと思うの?」
  • 「彼に会いたくてしょうがないんだ。こうなったら霊媒師の所にいくしかない!」
  • 「…それがあなたのしたいことなのね。」
  • 「でも、どうせ霊媒師だって役に立たないんだ。ああ、彼がよく行っていたお店とか、彼が住んでいたアパートをうろついていれば、せめて幽霊にでも会えるだろうか〜。」
  • 「それはないと思うけど。(…そりゃ通報されるって)」
  • 「ああ、もういっそ僕が死ぬしかないんだ。」
  • 「え〜、それが貴方の決意なのね」
  • 「そうだ。僕はもう自殺するよ。それしかこの悲しみを終わらせる方法は…ううう」
  • 「それがあなたの意思なら頑張って」
  • 「「へ?」」

上記のような珍妙な会話になってしまったそうな。「最初の頃は真面目に付き合ってたけど、もう8ヶ月も続くといい加減にこのループを終わらせたくてねえー」とは彼女のコメント。問題の人物はまず彼氏が亡くなった後、彼氏の弟と友人の3人で彼氏のアパートに行き、最後に彼氏を偲ぶ飲み会をやった所、酔っ払って嘆き悲しむあまり、アパート中の人のドアをノックして周り、おのれの悲しみを強制的にシェア。さらに部屋のバルコニーから叫んで嘆き悲しみ、街全体とも悲しみを共有しようとしたところ、もてあました連れの二人が救急車を呼んでその激しい嘆きを強制終了させたという中々すごい過去が。「アフリカ人はヨーロッパ人より感情表現が、ほら豊かだから」と彼女は言ってましたが、そりゃ豊かすぎではないだろうか。このアジア人はそこまで付いていけないぞ。
「やっぱりコースどうりに現実はいかないわね」と彼女はシミジミしてました。(笑)
とりあえずそんなこんなでお仕事終了。無事帰宅してノンビリと今日はオープンサンドを作って簡単な夕食。その後は適当にゴロゴロして就寝。
今日の写真は嘆き?の話題にふさわしく北欧の風景を。何となく、もの悲しげなストックホルムの夜景です。